戦場のピアニスト
いやあぁ~~~参った。
疲れた。
へビーな映画だった。
戦争の疑似体験をしてしまった。
この作品が実話だったなんて、容易に信じる事が出来ないほど。
言い尽くされた言葉だが、「事実は小説より奇なり」そのままの世界だった。
自身もナチス収容所に収監されたことがある監督のポランスキーは、
原作を見事に映像化(映画化ではない)してると思う。
以前、阪神大震災に遭って、2日間、殺伐とした街で過ごした事があるが、
そのときと同じような恐怖が全身に染み入る様な感じがした。
…勿論、別種の恐怖だったが、類似するところはあった。
昨年、この作品でアカデミー賞主演男優賞に輝き、
感動的スピーチをした主演のエイドリアン・ブロディが素晴らしい。
吹き替えナシででピアノを弾いたという、努力の結晶が画面から滲み出ていた。
それにしても、主人公のピアニスト、
シュピルマン(2000年に88歳で逝去)の生命力には圧倒された。
ヒタヒタと迫ってくる、ナチスの魔手に怯えつつ暮らす恐怖の日々・・・。
24時間、喉元にナイフを突きつけられたような感じだったろう。
尋常な神経じゃないよ、この人は。
俺だったら、狂ってる。
そして、観ていて強く思ったことは、最強・最大の敵は空腹だということ・・・。
ラスト近くの「缶詰あけられへーん!」状態には、
人間の根本的欲求をまざまざと見せ付けられ、
笑さえこみ上げる始末。
見よ!!!
空腹の絶頂で、敵のドイツ人将校から貰ったジャムを食べた時の
ブロディの恍惚の表情を!(写真)
ああ・・平和な時代に生まれた我々は、何て幸せなんだろうか。
ある意味タブーなアラン・レネの「夜と霧」と併せて、
風化しつつある歴史の側面をもっと知りたいと思う。
歴史というものの真実は分からない。
ナチスの悪行についても、賛否両論、様々な意見がある。
勝者が都合よく創った歴史に惑わされないようにしたいものだ。
この作品は、“シュピルマンが見た戦争”だ。
因みに・・・・・
シュピルマンの時計が「なんでも鑑定団」という番組に出たことがある。
定価は3万程度だったが、鑑定額は60万。
戦争中に時計を売ってしまい、時間感覚の麻痺に恐怖を覚え、
戦後に時計をコレクトしたらしい。
シュピルマンの息子は、日本在住の大学教授。
「父は英雄ではない。真の英雄は、
父を匿い、助けてくれたポーランド人。」というコメントを残した。
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