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妖艶な田中裕子@天城越え

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『天城越え』


原作は・・・・・
巨匠なのに、どうしてもクチビルのパロディを思い出してしまう
稀代のアンソロジスト・松本清張。

ヒタヒタと濡れるような画面からは
人間の奥底に眠る情念や悲しみ、
滾る様な本能が伝わってきて、心の琴線を揺さぶる。

「北斎漫画」、「ザ・レイプ」(佳作なのに、すっげぇタイトル・・)
「夜叉」などで、その炎心のような、
儚げな色気を感じさせる田中裕子の演技が秀逸。




昭和初期の寒村。
ある少年がいる。
少年の母親は亭主を亡くして以来、家に男を連れ込んでくる。

納屋の中、藁の上で激しく愛し合う2人を見て、
やるせなくなった少年は家出する。
(気を使った母親が少年に、普段はやらない小遣いを
おずおずと渡す仕草が何とも言えず哀しい)


少年は、天城越えの旅に出る。

その途中、少年は田中裕子演ずる娼婦・ハナと出逢う。
ハナは、これといって娼婦といった雰囲気はなく、
緑滴る自然のなかで生き生きと美しく輝き、屈託の無い笑顔を見せる。

少年は、彼女が何者か知らない。

言葉を交わすうちに、年の差など関係なく、無邪気な交流がそこに生れる。


だが・・・平和な時間は突如失われる。

ハナの前に、1人のケダモノのような男が現れる。
いかにも餓えている感じが、厭らし~い雲助を彷彿とさせ、虫唾が走る。
この男の登場で娼婦は商売に目覚める。
彼女のなかでは、それは当然の反応なのだ。

少年は急に変貌した彼女の態度を不可解に思う。
純真な子供心では、意味が解らない。

胸騒ぎを感じた少年は、2人の後をつける・・・。
なんとそこには、草むらで激しく本能を剥き出し合う◆▼●な光景が・・・

少年は、自分が旅に出ることにより封じ込めたはずのものを、また見てしまった。
やっとバランスをとっていた少年の心が呆気なく崩れ落ちる。

翌日、男の水死体が発見される。
現場に残された足跡から、ハナが容疑者として捕らえられる。
(職業柄、真っ先に疑われただろう)

刑事たちの執拗かつ、強引な取調べに、ハナは失禁する。(←このシーン、壮絶)

やがて、過酷な取調べの中で、ハナは真犯人が誰かを直感する。

少年に罪が及ぶのを恐れた彼女は自白する。
罪を認め、少年を庇ったのだ。

土砂降りの雨の中、裸足で裁判所へ送られるハナ。
群衆の中、その様子を見つめるあの少年がいる。
不貞腐れた態度だったハナがふと鋭い視線に気づき、少年を見る。

その瞬間、彼女はすべてを理解する。
その一瞬をスローモーションでとらえる映像・・・。
すべてを理解したハナは、儚げな笑みを浮かべ、微かに首を振る。
(この場面を観ると、胸が一杯になる。)

数年後、娼婦ハナは獄中で病死する。

しかし、このときハナを取り調べていた定年前の老刑事が、
その時、一緒にいた少年を捜し求め、何十年も経って会いに行くことに。

其の少年は、今はもう中年。
印刷会社の社長になっており、末期がんに侵されている。

社長の下を訪れた老刑事がやんわりと問いただす。

照明を落としてないのに、恐ろしく暗い画像。
緊迫のシーンが続く。
獄中で病死したハナのことを聞き、崩れ落ちる社長・・・・・。

とーーっても濃い~映画です。
疲れた。

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