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2006年10月

鬼龍院花子の生涯

「鬼龍院花子の生涯」を、十数年ぶりに観た。

子供心にインパクト大だった夏目雅子の啖呵シーン、

夏木マリの妖艶さ、

山本圭の熱演の一部しか覚えてなかったので、

改めて観ると、凄く新鮮で面白かった。



五社英雄の演出は直情的であり、実に分かり易い。

そして、魂がこもっている。

この作品も、ダイナミックでストレートでソウルフル。

意外だったのは、最大のヒット作である「吉原炎上」の数倍、画が素晴らしい事。

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ショットのひとつひとつに監督の美学が冴え渡っている。

そして、役者全員が、最高の演技と最高の存在感を魅せ、

観るものの心を鷲掴みにする。



特に、最大の見せ場は土佐・赤岡町「絵金祭り」のシーン。

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このシーンを組み込んだ五社監督は凄い!



原作は、宮尾登美子。

自らの故郷・高知を舞台にした作品を多く書く。

百戦錬磨の松岡正剛氏も、彼女の作品を賛美している。

ちなみに、劇中で一番有名な「啖呵」の台詞

「おまんら…なめたら…なめたらいかんぜよ!」は、

原作には無いそうだ。



そして、冒頭。

私が愛してやまない「橋本遊廓」が登場する。

(大変残念だが、ロケ地は橋本ではない)

どうせなら橋本に行き、淀川沿いからクレーンで

俯瞰撮影して欲しかった・・・。

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今の邦画より、昔の邦画の方が素晴らしい。

今と昔を比べるのは無粋かもしれぬが、この作品を観て改めて思った。

何より、物語の骨格がシッカリしている。

そして、昔の製作者たちは、映画に対する理念をきちんと持っている。



現代の観客のほうが、昔の観客よりもずっと目が肥えているが、

それは様々な情報を、いつでも何処でも手軽に

キャッチできるのだから当たり前である。

その代わり、我々は昔の観客に比べて想像力が圧倒的に欠如している。

昔の邦画を観る時は、想像力を働かせながら観ないと、

その作品が持つ魅力に気づけないまま、駄作の烙印を押してしまうのだ。

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京都映画祭!!

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あと数日で、第5回・京都映画祭だ!!

もしかしたら行けるかもしれないので、
「五番町夕霧楼」だけは、絶対に観たいと思う。
これを大スクリーンで観れるなんて、何て贅沢なんだ!

岩下志麻や、中島貞夫、田中徳三 両御大も生で見てみたい!

東京国際映画祭なんて、全く興味が無いね(笑

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若冲 「The Price Collection」

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行って来ました、プライスコレクション~若冲と江戸絵画展。

私は若冲に関しては完全にニワカなんで、
視神経に襲い掛かってくるような豪華な色彩&
一作ごとに趣の違う強烈な作風を観てると疲れてしまった(^^;
真剣に観るなら、若冲の絵は一日3作品くらいが適当かと…。

ミーハーな私は、やっぱり「鳥獣花木図屏風」に感動。
実はこの作品、真贋の議論が活発である。
●プライス「若冲の作品ではないと言われるけど、若冲だと思う」
●辻惟雄「若冲の工房による“若冲デザイン”の傑作だ」
●佐藤康宏「絶対に若冲の作品ではない」
真意の程は定かではないが、こういう事を思い出しつつ、
じっくり観るのが面白かった。
それと、この作品は宇多田ヒカルのプロモに使用されたという事で、
日本画に興味の無い若い層を取り込めたのは良かったけど…
一過性に終わらないよう、マスコミは慎重に採り上げてほしい。


個人的に、若冲の作品で一番気に入ったのは「伏見人形図」。
凄く可愛いし、江戸中期の平和な時代の空気感が、
絵から伝わってくるようだった。
インパクトは無いけど、いつの時代に観ても違和感の無い、
普遍的なデザイン。

あと、書き出すとキリが無いので、もう一作品。
河鍋暁斎の「妓楼酒宴図」。
幕末の新吉原の光景を賑やかに描いた傑作。
元・読売ジャイアンツの岡崎郁を髣髴とさせる男の顔がイイ!
のっぺりした細い眼と、女好きのくせして衆道を感じさせるような
「曖昧な厭らしさ」が、当時の遊治郎の雰囲気を如実に表しているようで、
観ていて飽きる事が無かった。

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重森三玲の邸宅を訪ねる①

アクオスのCMや、各雑誌の特集に採り上げられ、一般の方々にも知られるようになった重森三玲。



これまでも、このブログ上で、彼の作庭した芸術性の高い庭を紹介してきたが、今回は彼の邸宅(無字庵庭園)を紹介したい。



京都大学を抜けると、吉田神社がある。

その静謐感漂う聖域の一角に、重森邸が佇んでいる。



案内してくれた友人は、以前にもこの邸宅に来た事があるのだが、

「庭園美術館」として改装されていると言う事に、少なからず驚きを感じているようだった。

それは、初めて来た私も同じである。

林泉(近代以前の庭園の呼称)を芸術の高みにまで押し上げたり、我々が、こうして日本全国(素晴らしい庭は京都に集中しているが)の庭を鑑賞出来るのは、重森三玲の尽力によるところが大きい。

だが、昨今のブーム(CM効果や雑誌等の)が過ぎたあと・・・

果たして、一般人の我々は、これまでのような熱狂と関心を持って庭園文化を愛し続け、後世にその素晴らしさを伝えゆくことが出来るであろうか・・・!?

文化(芸術)というものは、一般人である我々が支えていかなくてはならないのだ。

そういう考えを持ってしまったが故、この邸宅が「庭園美術館」として始動してゆく事に、末席のファンとしては余計な心配をしてしまうのであった・・・。

(大きなお世話かな?)



いかん、話が逸れてしまった。 文も滅茶苦茶だし・・・。



とにかく、あまりにも有名になってしまった庭。

写真では10パーセントも魅力が伝わらないだろうけど・・・

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カサヴェテスの作品

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秋の夜長には「映画鑑賞」といきたいところだが、
如何せん、仕事が詰まっていて全く観る事が出来ない。

小学校低学年~20代にかけて、1500本近くの映画を観た。
10代の頃は邦画が好きで、70年代ものが中心。(マセてた・笑)
20代前半は、アメリカ映画オンリー。
中盤は、フランスとイタリア、ロシア映画を観まくった。
後半から、黒澤や溝口、50~60年代の邦画にハマり倒し、現在に至る。

20代前半に観て衝撃を受けたのは、ジョン・カサヴェテスの作品群だった。
インディペンデントな姿勢を徹底して貫く為、彼が用いたゲリラ的手法は、
後の奇才たち(マーティン・スコセッシ、アベル・フェラーラ、ジム・ジャームッシュ、
ハーモニー・コリン等)に多大なる影響を与えた。
彼の作品には、派手なギミックや、スペシャルエフェクトは一切出てこない。
そこが、最大の魅力である。
映画という「ツール」を用い、ハリウッド映画特有の「夢の世界」を
演出するのではなく、「現実」を描き出した。
そこが、「一般人」である我々に、深い共感を与えてくれるのだ。
そして、自らが資金を調達する事による「自由な創作」が、
観るものの感情を「リアルに揺さぶる」のである。


個人的に一番気に入ってる作品は、「ラヴ・ストリームス」。
テッド・アレンの戯曲を元にした作品で、
ロケの大半は、カサヴェテスの自宅で行われている。
登場人物たちの細かな感情の描写と、たおやかな空気感は、
カサヴェテスにしか表せない特有の世界。
何度観ても新たな発見があり、脳髄に刺激を与える事が出来る秀作である。


※画像は、2番目に好きな「チャイニーズブッキーを殺した男」より。

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東福寺・音舞台

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先程、TBS系列で、東福寺・音舞台を放送していた。

この「音舞台」は、今まで様々な名刹で行われてきた。
泉涌寺、東寺、清水寺、鹿苑寺、比叡山延暦寺など・・・

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初期のストーリーテラーが、柴俊夫や森山周一郎、
佐久間良子だったなんて・・・何てカッコイイんだろう!
知性を持つ俳優が少なくなった昨今では、考えられぬキャスティングだ。

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平原綾香の歌声が、スーッと東山の森に沁み込んでゆくのも
素晴らしかったけど、マルコ・ベルティのテノールも最高。
マッテウッツィに似た甘美なテノール・・・
愁いを帯びた艶やかな声が、実に魅力的である。

あと、東京藝術大学出身者で結成された「あいおい」の
“犬夜叉”も、 古刹の雰囲気にピタリとハマった名演奏であった。


私が一番感動したのは、中国障害者芸術団の「千手観音」。
とにかく、美しく、迫力があり、神々しい。
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21人の男女が舞踏しており、最年少は14歳。
彼らは全員、耳と口が不自由な聾唖の障害者だそうだ。

彼らの舞踏のトレーニングは非常に特殊なものである。
音は聞こえないけど、身体で振動を感じる事が出来るので、
スピーカーの上に身体を置き、曲のリズムやテンポを体感させる。
そして、舞踏の専門家が手話の技術を習得して指導し、
手話の先生に舞踏の知識を学んでもらって指導してるという手の込みよう。

健常者の何十倍もの訓練を重ねる事により、
「千手観音」という演目が完成するそうだ。
是非一度、生で観てみたいと思った。

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