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ゆれる  ---西川美和は美人---

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「ゆれる」を再見。

劇場で感動したので、今度はDVDで、じっくり堪能したかったのだ。
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まず、
冒頭 ~ 女が死ぬ直前までの、約30分。
ボリュームのある画作り。
素晴らしい画がある度に停止し、一息ついてから観る・・・
この繰り返し。
凄い映画に会った時は、いつもこんな感じである。


特に魅せられたのは、マンションを出てから故郷へ向かうまでのカット。
センスの良いアメリカ映画を観ているようだった。
野太いウッドベース(&オルガン)の音をバックに、
64年式のフォードを運転するオダギリジョー。
それを、ヴィンセント・ギャロのようなカメラワークで、ビッシリ捉える。
音楽がカッコ良く、骨太なロードムービーの様相を呈している。
所々、全盛期の村川透テイストが漂っているかと思えば、
デヴィッド・リンチを思わせるショットが入っていたり・・・実に楽しい。
もちろん、単なる模倣ではない。






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そして、
故郷に着いた途端、「アメリカ映画」が、「日本映画」となる。
地方の陰湿な人間関係や悲惨さを徹底して描いており、
観客は痛い現実を見せ付けられる。
ここまで素晴らしい“落差”を感じさせる西川美和の手腕は、かなりのものだ。
ストーリー的には当然の展開なのだが、高いテンションのまま
ラストまで息をつかせず、観客の心を一瞬たりとも離さない。



前半の一時間は「画」と「音」で見せ、
後半の一時間は「秀逸なプロット」と「演技」で見せる。




ディテールも凄い。

まず、
稔(香川照之)の髪型。
この髪型が、芸術的にダサい。
バケツ型襟足が映る度、この人物の性格が分かる。
男の性格は、襟足と背中に出るのだ。
(ヘアメイクのアイデアだとしら、凄い)


あとは、
猛が、智恵子を落す時の絶妙な台詞、
智恵子を抱いた後の、猛のつれない態度、
猛が出て行った後にアップで映るトマトの断面、
そして、フェリーニの「甘い生活」を思わせる、鯛の顔のアップ・・・
これらが、効果的に作品を彩る。




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監督の西川美和(美人)は、絶対にオダギリに惚れてるはずだ。
「自分だったら、こういう風に愛して欲しい」という演出をし、
女優達を己の代わりにしているように見えた。
(秘書とのキスシーン、智恵子(真木よう子)とのベッドシーン、
シャワーシーンでのバックショット等)






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ラストは、人によって様々な解釈が出来るだろう。
西川監督によると、あのラストカットの後に、
ストーリーが完全に理解出来るカットがあるそうだ。
それを敢えて外し、観客に考えさせるという素晴らしいセンス!




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昨年の邦画界の話題を独占した作品だけど、
途中、どうしようもなくヘタな演出があったり、ミスキャストもあった。
香川照之とオダギリジョーが出ていなければ、どのような作品になったか…
そんな脆弱さを孕んでいる。

だが、それらを差し引いても傑作には違いない。
何度でも観たくなる作品。



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香川照之の演技は圧倒的で、今の邦画界ではナンバーワンの
演技力を持つ俳優と言っても過言ではないが・・・
オダギリジョーの“セックスアピール”には、男の私でもゾクッときた。
この厭らし~い目線!


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新井浩文も光っている。
「素晴らしい眼」を持った役者。

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