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御法度  その壱

久々に「御法度」を鑑賞。

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冒頭、いきなりこういうシーンを持ってくるが、微塵たりとも陋しさを感じさせない。

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映像・プロット・演者の完璧な三位一体・・・

この時点で、傑作の匂いが馥郁と立ってくる。

ポール・ボキューズの傑作「V.G.E.に捧げたトリュフのスープ」のパイ生地を破った時のような興奮。

監督は、大島渚。

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大問題作「愛のコリーダ」や、「戦場のメリークリスマス」などを撮った鬼才。

この人は、映画監督というより、オルガナイザーという方がしっくり来る。

そういう意味で、「御法度」は、大島の作品中、最も異質な作品だと思う。





【ストーリー】

・勤皇派と佐幕派が激しい抗争を繰り広げる幕末の京都。

幕府の治安維持部隊として設立された新選組に、1人の美しい少年が入隊する。

厳しい規律の下で固い結束を誇っていた組織は、少年の妖しい魅力の前に動揺し、

いつしか混乱に陥ってゆく・・・



鬼才が撮る13年ぶりの新作ということで、当時の私は興奮した。

時代劇の定番的素材となっていた新選組を、大島がどう料理するのか・・・



おお、

やっぱり一筋縄ではなかった!

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鎖された世界で起こる衆道(男色)を機軸に物語を展開させながらミステリーを煽り、

ラストは曖昧な表現と幻想的なシーン(「雨月物語」的な)で締めくくり、観客を煙に巻く。

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初めて観た時はしっくり来なかったが、観るたびに面白くなってゆく。

永く愛される映画や文学は曖昧な部分があり、読む人によって様々な解釈が出来る。

この作品も、その例に洩れない。



大島は、勤皇とか佐幕という考え方を、この作品に持ち込んでいない。

既成の歴史観を排し、大島らしい新選組を提示している。

そういうスタイルは、歴史上の人物を映画化するにあたって相当な勇気と決断を要するが、

超一流のスタッフと、映像化にピッタリの原作を選んだ事により成功を収めている。

歴史ファンの心配を一笑に伏すかの如く・・・







ロケ地の殆どが京都。(次回、UP)

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作品の核となる美少年・加納惣三郎。(松田龍平)

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最初に観たとき、棒読み台詞と、ぎこちない所作に目を覆った。

(父親があまりにも偉大な為、見比べていたのかもしれない)

そして、「ちっとも“美少年”じゃない」と思った。







しかし、物語が進むうちに、すっかり魅了されてしまった。

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・ 惣三郎が何を考えて行動しているのか分からないまま物語が終わる。

・得体の知れない異物(惣三郎)が入ってくる事により、それまでの組織のあり方が変わる。

↑この2つが、惣三郎の魅力の「肝」なのだ。

だから、龍平の妖気漂う雰囲気と、その素人臭さが物語の神秘性に拍車を掛け、

惣三郎→龍平のキャスティングは成功していると思った。

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この作品に於ける美少年は、「美しければ良い」というわけじゃない。

美を凌駕する毒気・妖しさ・白痴的なものが加味され、美少年・惣三郎となるのだ。



これから観る人は、惣三郎に惑わされる事を楽しんでほしい。

映画の本質を熟知した最高のスタッフが創り上げただけに、

何度観ても楽しめる傑作に仕上がっている。

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