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滅びの美学・「ぼんち」 その2

その1からの続きです。





京マチ子。 当時36歳。

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日本人離れした豊満な肉体、艶のある声、力強い台詞回し・・・

映画に詳しい人ならご存知でしょうが、嘗てはグランプリ女優と呼ばれていました。

ヴェネチアでは「羅生門」で、カンヌでは「地獄門」で世界中の映画ファンを魅了した大女優。

生粋の浪速っ子だけあって、船場言葉も堂に入ってます。

この方も御存命中。(88歳)



越路吹雪。 当時36歳。

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宝塚歌劇団創成期の大スターで、シャンソンの女王。

関東出身なのに、大阪弁が上手くてビックリ。

女優としても、充分活躍出来たんじゃない?

エルメスの上顧客で、パリ本店では「マダム内藤」と呼ばれていたそうです。





中村玉緒。 当時19歳。

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もう、書く事はありません(笑)。

日本映画全盛期を知る数少ない大女優の一人になってしまいました・・・





そして、我が大スター・市川雷蔵。 当時29歳。

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37歳で夭折したという点に於いて、相当神秘的な俳優なんですが、

この作品の雷蔵は、「近所の兄ちゃん」といった感じのユル~い演技が最高。

時代劇で魅せる妖気・迫力を完全に消している。(凄い!)

「ぼんぼん」から、「ぼんち」へ駆け上がってゆく様を観てると、

現代の俳優たちとの「格の違い」を、まざまざと感じました。



さて、監督は、日本映画界屈指のモダニスト・市川崑。

しかも、撮影は、数々の巨匠たちから絶大な支持を得ていた宮川一夫。

芸術的俯瞰撮影・・・酔いしれて下さい。

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和の情景をバックに流れるジャズテイストの音楽も美しいです。

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※以下、こぼれ話。(殆どの文を「ようこそ、雷蔵ワールドへ」から拝借しました)

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大阪の花街・新町のお茶屋へ上って、「地の芸者に接したい」という雷蔵のリクに応えた長兄(船場育ち)が、雷蔵を新町へ案内し、行きつけのお茶屋に贔屓の芸者を揚げて遊んだそうだ。

新町の芸者たちは「花代いりまへんよって、雷蔵さんのお座敷へ呼んでおくれやす」と言って大騒ぎになり、五・六人の芸者の人選に、お女将さんが頭痛を起したらしい。

お座敷へ上った雷蔵は盃もそこそこに、芸者の着物の着付けや所作を些細に見入り、ついには芸者に帯を解かし、長襦袢の伊達〆めの締め方を見て、「なるほど、お座敷着の着付けも、京都の芸者とは違いますね」と言い、さらに「小説の中の幾代が七色の腰紐を結ぶ、というあたりは、どういう工合に結びますのやろ」と聞いた雷蔵の熱心さに、皆が驚嘆したそうだ。









shine【「ぼんち」の名台詞】・勢以(山田五十鈴) ・若御寮(中村玉緒)

※姑の勢以(せい)が、若御寮(わかごりょん=若い嫁)さんをイビるシーン。



勢以:誰だす?お大根、こんな丸っぽぅに切らはった人は。

奉公人:へぇ、私だす。

勢以:うちは“賽の目”に切る事になってんねやないか。

奉公人:若御寮さんが、この方がエエ味になり言いはりましたんで。

勢以:へぇ~ 弘子はん、アンタが丸っぽう切らしはったんでっか。

若御寮:左様申しまして…

勢以:なぁ~んで丸っぽうにしなはったんやぁ。

若御寮:賽の目より美味しおますし、食べでがおますさかい…

勢以:奉公人のオカズは、味より見栄でっせ。

丸っぽで、2つ3つお皿によそてあるより、

同じ嵩でも、賽の目でたーんと盛り上げてあるほうが、見栄に満足するやないか。

ケチくさいようでも、そういうとこへまで気ぃ配らな、代々の「ぶがいんしゃ」にはなれまへん。

一代限りの俄か成金なら、話は別でっしゃろけど。

弘子はん、船場には食べもんにまでうちの仕来りゆうもんがごわんねん。

お芋さんの切り方・お大(根)の刻み方ひとつにしても、

うちに来たら、うちの家風を守ってもらえまへんとな。

せやないと、若御寮さんとはいわれまへん!







ラスト近く・・・

喜久ぼん(雷蔵)が、入浴中の女たちの会話を聞いて、放蕩に見切りをつけるシーン。

素晴らしく豊潤な画がMerveilleux!!

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